新型コロナウイルスの余波で生産者が打撃を受けたことへの緊急対策として、自民党が先月に打ち出した「お肉券」「お魚券」構想。インターネットを中心に「特定の業界だけを優遇している」「『族議員』の利権だ」などと批判が巻き起こり、頓挫しました。インバウンド(訪日外国人客)の減少などで落ち込んだ国産の和牛や魚介類の消費を促すための案でしたが、経済対策としてそんなに珍しいアイデアだったのでしょうか。海外では行われていないのでしょうか。横浜国立大学の荒木一郎教授(国際経済法)に聞きました。
――実際に高級和牛の消費は減っており、生産者にとっては重要なアイデアのようにも思えます。今回の「お肉券」のような経済対策が行われた例はあまりないのでしょうか。
これまでにも地域振興券やプレミアム付き商品券といった例があり、商品券やクーポンを配ること自体はそれほど珍しくはないと思います。ただ、今回のような国産食品に限った商品券というのは海外を含めても聞いたことがありません。そうした意味では、世界でも異例といえるのではないでしょうか。
拡大する横浜国立大の荒木一郎教授=本人提供
――海外ではこれまで、商品券を配布しての経済対策にはどんなものがありましたか。
思いつくのは、米国の「food stamp(フードスタンプ)」です。1960年代から始まった低所得者向けの食費補助政策で、スーパーなどで、酒などの嗜好(しこう)品を除く食料品を買える券を配布しています。貧困対策の側面も大きいですが、農家や食品産業界を助けるという経済対策でもあります。
――今回の新型コロナをめぐっては、商品券での対策をしている国や地域はありますか。
欧米では現金給付を検討しているところが多いですが、中国では商品券を配っている地域があるようです。報道によれば、商業施設や観光地で使える電子商品券やコーヒー券、美食券、宿泊券、図書券といった通常の商品券を配っている地域が多くあり、重慶市璧山区では区内の店で一定額の買い物をすると、政府が発行する商品券でキャッシュバックされるそうです。
――そもそも商品券と現金給付で、効果に違いはあるのでしょうか。
期限付きの商品券であれば一定…
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April 02, 2020 at 08:34PM
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