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Friday, March 13, 2020

3Dプリンターで「ステーキのような人工肉を出力する」ことが可能に - GIGAZINE


ステーキや焼肉といった肉料理が好きな人は多いはずですが、近年では「畜産業が強力な温室効果ガスであるメタンガスを大量に放出しており、地球温暖化を加速させている」という問題点が指摘されており、地球温暖化を止めるには肉や乳製品の消費を抑えるべきという主張もされています。そこで人々の注目を集めているのが、植物ベースの素材で作られた「人工肉」であり、Novameatという企業は「3Dプリンターでステーキのような人工肉を出力する」システムを開発しています。

Alternative meat industry moves beyond the burger | Ars Technica
https://arstechnica.com/science/2020/03/alternative-meat-industry-moves-beyond-the-burger/

Does this 3D printed 'steak' taste like the real thing?
https://nypost.com/2020/02/27/does-this-3d-printed-steak-taste-like-the-real-thing/


スペインのバルセロナでバイオエンジニアとして働いていたGuiseppe Scionti氏は、3Dプリンターを使いた組織や臓器の再生について研究している最中に、「3Dプリンターを使って人工肉を作ることができるのではないか」と考えたとのこと。2018年にScionti氏はNovameatを立ち上げ、「植物由来の成分を細い穴から押し出し、極薄の筋肉繊維に似た層を形成する」という技術の特許を取得しました。

既存の人工肉業界が注目していたのは、ハンバーガーのパティやハンバーグに使用するミンチ状の人工肉であり、記事作成時点でもミンチ状の人工肉は高いクオリティを誇っています。その一方で、肉をそのままカットしたステーキ状の人工肉については、食感や外見をリアルに再現することが困難だったそうです。

しかし、Scionti氏は植物ベースの成分を非常に細い繊維状に出力する技術を開発することで、動物本来の肉に近い食感や外見を再現したとのこと。Scionti氏は「私たちは植物ベースのステーキが実際のビーフステーキの食感と外観を合わせ持つように、植物ベースの素材をマイクロサイズの繊維として押し出しています」とコメント。Novameatを支援する投資家のChris Kerr氏は、植物ベースの人工肉の世界には分厚いステーキや魚の切り身は存在していないと指摘し、肉の繊維が感じられる人工肉は消費者にとって大きなセールスポイントになり得ると考えています。


Scionti氏は2020年3月10日、Novameatが開発した人工肉形成3Dプリンターを使用して、バルセロナの料理学校でデモンストレーションを行ったとのこと。以下のムービーで、Novameatの人工肉形成3Dプリンターが人工肉を出力する様子や、実際に出力された人工肉の外観を見ることができます。

Tasting a 3D printed 'steak' - YouTube

「私がGiuseppe Sciontiです。Novameatの創設者兼CEOを務めています」と語るScionti氏の前には、人工肉を出力する3Dプリンターが置かれています。


3Dプリンターは植物由来の成分を細い繊維のように出力して重ね、筋肉の繊維を再現しているとのこと。


繊維を重ねていくことで層が形成され、本来の肉に近づいていく模様。こうして形成された人工肉は、外観や食感も本来の肉と同じものになるとScionti氏は主張しています。


一見すると、食品としての肉を作っている最中とは思えません。


こうして出力された人工肉を取り出し……


そのままフライパンで焼いて食べることができるとのこと。


ジュウジュウと音を立てて人工肉を焼くScionti氏。なお、このサイズの人工肉を出力するのに20分ほどかかったそうです。


肉が焼き上がったら……


実食タイムに入ります。


恐る恐るといった雰囲気で人工肉を口に運んだ女性は……


ほほ笑みながら何度もうなずきました。今回の人工肉を試食した料理学校の生徒によると、人工肉には出力までの20分を待つ価値があったそうで、「好みの味だ」と答える生徒もいたとのこと。


Novameatによると、およそ900gの人工肉を出力するのに必要なコストは30ドル(約3100円)だそうで、生産の規模が拡大するにつれてコストは下がると予想されています。Scionti氏はNovameatの人工肉形成3Dプリンターがレストランに納入されることを期待していますが、将来的には家庭用のバージョンも開発したいとのこと。「誰かがこのマシンを自宅に持ち、キッチンでカスタマイズされた食べ物を作ることが可能な未来を想像してみてください」と、Scionti氏は述べました。

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