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Sunday, March 1, 2020

代替肉とは何か?ビヨンドミートは何がすごい? 世界で進む脱肉ビジネスをひも解く - ビジネス+IT

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カナダのマクドナルドではビヨンドミートを使ったハンバーガーを実験的に販売した

(写真:ロイター/アフロ)


ビヨンドミートによる代替肉とは?

 ビヨンドミートは、その名の通り「肉を越えて」であり、同社が提供するのは食肉の代わりとなる代替肉(プラント・ベース・ミート、植物由来の肉)です。この代替肉の実現方法はさまざまです。たとえば、牛の筋肉の細胞を培養して肉を人工的に合成する方法や植物由来の原料で食肉の食感を実現するなどの方法もあります。

 その中で、ビヨンドミートは、植物由来のタンパク質をもとに代替肉を製造・提供しています。その実現方法を一言で表せば「サイエンス」と言えそうです。具体的には、図1の上部に示すように、実際の牛肉があるとして、その牛肉のすべての構成要素を分子レベルで洗い出します。

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図1:ビヨンドミートの代替肉の製造アプローチ

(出典:会社資料)


 そして、その構成要素について、植物由来のタンパク質、具体的にはエンドウ豆、ココナッツオイル等の素材によって「肉」を置き換える仕組みです。これによって、図1下部に示すように、たとえばソーセージについては、元のソーセージと分子レベルでは遜色のないレベルまで代替が可能になります。これこそがビヨンドミートの「サイエンス」の力です。

 では、ビヨンドミートの味は本当にオリジナルの肉と同じなのか。これは人によって好みが分かれているようです。筆者の極めて個人的な見解になりますが、ビヨンドミートの「Beyond Burger」については、その名の通り、ハンバーガーのような形で食べれば、肉としての再現度は非常に高いと感じました。一方で、ステーキのように食べることができるのかというと疑問符が付いたのも事実です。

 代替肉において肉々しさをどう出すかは各社の課題で、ビヨンドミートのライバルであるインポッシブル・フード社では、血のしたたるような「肉々しさ」を再現するため、ヘムという鉄の分子から構成される物質を大豆の根粒から採取し、これを代替肉に混入しています。

ビヨンドミートの販売チャネル

 ではビヨンドミートのビジネスをもう少し詳しく見ていきましょう。同社は図2に示すように、大きく2つの販売チャネルで展開しています。1つ目はホールフーズ、ウォルマートなどの小売店経由での販売(主力製品ビヨンドバーガーは1パック2個入りで5.9米ドル)、2つ目はカールス・ジュニア、KFC、マクドナルドといったレストランへの提供です。販売地域は、主に米国・カナダ、ヨーロッパで、日本では現在販売されていません(その理由については後述します)。
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図2:ビヨンドミートの販売チャネル

(出典:会社資料)


 特筆すべきは、同社の売上は小売店向けならびにレストラン向けのいずれも2019年度に入って急拡大したことです。2019年10月に発表された同社の2019年第3四半期決算では、小売向け、レストラン向けの売上高の合計は9196万ドル(1ドル108円換算で99.3億円)と大幅に伸長、それに伴い税引前利益も409万ドル(4.4億円)の黒字に転換しました。

【次ページ】ビヨンドミートのポジショニング

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