古代から現代まで、日本の食文化は多様に変化してきました。21世紀に生きる私たちにとって望ましい食生活とは一体なんでしょうか? 本記事では、内科医である奥田昌子氏の書籍『日本人の病気と食の歴史』(KKベストセラーズ)より一部を抜粋し、「昭和時代~現代の食生活の変化」に焦点を当て、解説していきます。
戦国時代から続く日本人の「ストレス管理」
◆21世紀の食養生をめざして
日本人の食養生の考えかたは戦国時代までにほぼ固まっていたと考えられます。そのエッセンスをわかりやすくまとめたのが、横井也有(やゆう)の『健康十訓』です。也有は『養生訓』で知られる貝原益軒より70年ほどのちの時代の人で、尾張藩の重臣でありながら俳人としても活躍し、81歳まで生きました。
『健康十訓』
1 少肉多菜(肉より野菜を多く食べる)
2 少塩多酢(塩より酢を使う)
3 少糖多果(砂糖を減らし、果物を食べる)
4 少食多噛(食べ過ぎず、よく噛んで食べる)
5 少衣多浴(薄着にし、風呂によく入る)
6 少車多歩(車をあまり使わず、よく歩く)
7 少憂多眠(くよくよ悩まず、しっかり眠る)
8 少憤多笑(あまり怒らず、よく笑う)
9 少言多行(あれこれ言うより行動する)
10 少欲多施(欲ばらず、人に与える)
1番から4番が食事、5番、6番が生活に関する注意です。あとの4つは心の持ちかたについての助言で、ひと言でいうと、おおらかで前向きな考えかたを良しとしています。益軒の『養生訓』にも、「心穏やかに、怒りを抑え、心配の種が少なくなるようにするのが心の健康法で、これが養生の第一である」と書かれています。現在でいうストレス管理でしょう。
大陸と日本では健康管理への考え方に微妙な違いが…
也有の十訓は現代医学に照らし合わせても納得できるものばかりです。日本人が同じ体質を受け継いでいる限り、先人がとなえた健康の秘訣が色あせることはありません。
現代の観点から付け加えるなら、「少肉多菜」と同時に「少肉多魚」といきたいものです。そして、ご飯と味噌汁を食事の主役として、そこにおかずをそえるようにしましょう。
似て非なる文化
4番の「少食多噛(食べ過ぎず、よく噛んで食べる)」は腹八分目の大切さを述べたものです。薬食同源という言葉をご存じでしょうか。薬と食べものは源が同じとする考えかたで、日本にも大陸にも伝わっています。けれども、大陸では健康に良いものを食べなさいとすすめるだけなのに対して、日本では、どんなに良いものであっても腹八分目にとどめるよう釘を刺します。これは大陸の伝統医学とは異なる日本特有の思想といわれています。
どんな食材も大量に摂取すれば、摂り過ぎによる害が必ずあらわれます。個々の食材だけに目を向けると全体のバランスを見失うおそれもあるでしょう。足し算だけでなく引き算も行うことで、食事全体、体全体のバランスを整える。これが日本人のために日本で発展した食養生の原則です。
「中国・東アジアの箸」と「日本の箸」決定的な違い
箸で食べる和食は、諸外国の料理とくらべて腹八分目に抑えやすいと考えられます。
箸は「つまむ、押さえる、運ぶ、混ぜる、裂く、ほぐす、くるむ、切る」など、12の機能を果たすとされ、とくに、粘り気のあるご飯を一口分ずつすくえるのは箸なればこそ。中国大陸、ベトナム、朝鮮半島、日本など、米を主食とする地域で箸が使われているのはこのためです。
なかでも日本の箸には特徴があります。日本以外の地域では箸の隣に必ずスプーンが並ぶのに対し、日本は基本的に箸しか使いません。静かに、丁寧に箸で食べれば、食べ過ぎることはないものです。
魚の身をきれいにほぐせるように、先が細くなった箸を使うのも日本だけです。ここにも、心穏やかに、健やかな体を作ろうとする日本人の工夫が宿っています。
日本人が健康と長寿を願う歴史は、より良い和食をさぐる歴史でもありました。米一粒に込められた先人の情熱と祈りに思いをはせつつ、食生活を正し、和食をさらに良いものにして、私たちも、未来の子どもたちも、もっと健康になりたいものです。
奥田 昌子
医師
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June 20, 2020 at 01:14PM
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少肉多菜、少塩多酢…日本人が世界的に長寿である「十の秘密」 | 富裕層向け資産防衛メディア - 幻冬舎ゴールドオンライン
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