７月２８日、カイロ近郊のヒツジ市場。仲買人らによると今年は売り上げが減った
■ヒツジを屠る
カイロ西部エル・マドハバ地区。７月３１日、午前８時を過ぎると、とたんに活気を増してきた。路上に囲われたスペースには、ヒツジが何１０頭も群れ、鳴き声が響く。精肉店に客が詰め掛け、気に入ったヒツジを購入すると、その場で素早く屠られた。
イードは日本の元旦に雰囲気が似ている。前日は大みそかのように家族や友人と寝ないで過ごし、その足で早朝の礼拝に向かう。その後にヒツジを屠るのが恒例で、約３５００ポンド（約２万３０００円）の５０キロ級１頭で、約１０人が分け合える。肉は食べ、皮はカーペット、角はナイフの柄などに加工し、無駄は一切ない。
精肉店を営むファティヒ・サイイドさん（６３）が「金持ちも貧しい人も同じ肉を食べて気持ちをシェアするんだ」と教えてくれた。一部で「残酷だ」との声には、「『平等』をつくる大事な伝統だ。理解してもらいたいよ」と話した。
■人混み回避
今年は新型コロナでヒツジの需要が減り、収益を見込んでいた仲買人には打撃となった。イード数日前にカイロ近郊のヒツジ市場を訪れると、仲買人らが「今年は全然だ」とぼやいた。マハムード・アリさん（２４）は例年１日４０～５０頭を売りさばくが、今年は２０頭前後。「市場を渡り歩いてどうにか売っている。２０％は売り上げが落ちた」と嘆いた。市場が再開したのも７月中旬からだという。
街角でヒツジを屠る光景が減った一方で、慈善団体への寄付が増えた。新型コロナ対策として、人混みを避ける目的を兼ねて団体に寄付すると、自身に代わってヒツジを屠ってくれるからだ。寄付者は団体から証明書を受け取り、肉を配ったと同等に見なされる。
今年は寄付に切り替えたへシャム・ナガフさん（４７）は「人混みを避けることができたし、慈善団体が最も必要としている人に肉を届けてくれた。家族で地中海沿岸に遊びに行くこともでき、願ったりかなったりだった」と話す。イードは初日から数日間が連休となるため、若い世代の間では、ヒツジを屠る時間を節約して休暇を楽しむ人も増えている。
■家族の集い
７月３１日、カイロ市内で、親戚で集い「フェッタ」（手前）やヒツジ料理を楽しむ
イードでは、早朝に家族そろってモスクで礼拝するのが恒例。子どもにおもちゃが配られ、お祭りのような雰囲気になる。だが、今年は国内で礼拝を許可されたモスクはカイロのサイーダ・ナフィーサ・モスクのみ。しかも参加は政府要人に限られ、家族４人で訪れたモハンマド・マージンさん（４８）は「少人数なら中に入れると聞いたけどダメだった」と残念がった。モスクに近い路上で礼拝し、帰って行った。
新型コロナで多くが影響を受ける中、変わらなかったものもある。カイロ中心部のアグーザ地区にあるモハンマド・クトゥブさん（８８）宅には、昼前から親戚が多く集まって来た。ヒツジの肉料理を囲み、肉のエキスで炊いたご飯にパンを混ぜ、トマトソースをかけた「フェッタ」を食べるのが習わしだ。「今年の肉は軟らかくておいしいね」「ほら、もっと食べて」。会話は途切れることがない。庭を走り回る孫たちを眺め、妻のキャミリアさん（６８）は「今年も集まることができて、この上ない幸せよ」。
イード・アル・アドハ イスラム教の宗教的な祝日で、アラビア語で「イード」は「祭典」を意味する。預言者アブラハムが神の命令に従って、息子を生贄（いけにえ）にささげようとしたところ、天使が現れて制止し、息子の代わりとなるヒツジを与えたという話に基づき、ヒツジを屠るようになった。
関連キーワード
"肉" - Google ニュース
August 11, 2020 at 09:50PM
https://ift.tt/2DJukwN
変わるイスラムの伝統 ヒツジ肉分かつ「犠牲祭」 代金寄付して旅行も - 東京新聞
"肉" - Google ニュース
https://ift.tt/38hnicy
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
No comments:
Post a Comment