巨人が20日、日本ハム中田翔内野手(32)の電撃無償トレード移籍を発表した。
同午前11時から入団会見を行い、午後には東京ドームでのDeNA戦に向けた試合前練習に合流。出場選手登録は見送られたが、新天地の仲間と汗を流し、背番号10の真新しいユニホーム姿を披露した。中田は4日に同僚選手に暴力行為を行い、11日に無期限出場停止処分を受けた。9日後の電撃移籍実現には、原辰徳監督(63)と栗山英樹監督(60)それぞれの“親心”があった。
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原監督は両手を広げ、「ハグ」で中田を迎え入れた。DeNA戦の練習前、坂本と話をしていた中田を「よく来てくれたね」と受け止めた。「感謝を忘れずに、また新たにチームで大きな希望を持って来てくれたと思います。しっかりと戦いざまを見せてもらいたい。私自身もしっかりとサポートしてベストを尽くす」と大きな期待を寄せた。
電撃移籍が動きだしたのは、4日前の16日。日本ハム栗山監督から原監督への1本の電話がはじまりだった。中田が同僚選手に暴力行為を行って無期限出場停止処分を受けている事実は、原監督も重く受けとめている。そのうえで「特別な、信頼感のある人」と認め合う指揮官の思いに耳を傾けた。詳細な内容については胸の奥に大事にしまったが「栗山監督は彼のことを一人間として、一野球人として大事にしていた、ということだけは伝えられています」と明かした。
暴力行為は、決して許されることではない。衝撃的な事件を起こしたにもかかわらず短期間で移籍する中田には、世間から厳しい目が向けられることもあるだろう。一方、中田自身もそのことを理解し、反省し、野球を辞めるほどの覚悟を日本ハム側に伝えるなど後悔の念を抱いていた。原監督は迷わず、腹を決めた。
原監督 中田翔という…全てのことを共有して進んでいこうと。ジャイアンツでプレーしてもらおうというところが最初でした。決断をしたということです。
1度の過ちですべてを終わらせるのではなく、「中田翔」のこれまでと今を受け入れ、ともに新しい未来へと歩を進めていこう-。野球人としてはもちろん、人間「原辰徳」が持つ包容力と前向きさが、電撃トレード実現を加速させた。原監督はこの日朝、キャプテン坂本には「歓迎してやってくれ」と、LINEで説明。午前10時、巨人が中田と契約を結んだ。
試合前練習の打撃練習を見詰めた指揮官は「やっぱり野球というものが好きだし、水を得た魚のごとく、コンディション等々も良く映りました」と笑顔を見せた。この日の出場選手登録は見送ったが、スラッガー中田への期待値は大きい。
原監督 (後半戦のテーマに掲げる)「わっしょい(ベースボール)」の輪に加わってくれたのは非常に大きい。チームリーダーの勇人が1つ先輩なのが好材料だと思います。素晴らしい野球人、素晴らしい社会人がいますので、早く一員として慣れてもらいたい。
事件発覚から9日後。注目度が高く、常勝を義務付けられている名門球団が、中田に再スタートの手を差し伸べた。【浜本卓也】
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