◇25日 大相撲九州場所13日目(福岡国際センター)
今日も車が混雑し、帰館するのに65分もかかってしまった。着替えをして7時ちょうど、今から原稿をスタートします。といっても体が疲れてヘトヘトです。死力を振り絞って何とかやってみます。
いよいよ13日目、優勝は2敗、3敗組に絞られています。その2敗同士、高安と王鵬が対戦しました。昨日は宿敵豊昇龍を破り、意気上がる王鵬。相手の高安は王鵬にとっては雲の上の人にも思える存在だろう。それでも果敢に頭で当たり、懸命に突っぱった。しかし今場所の高安は連日落ち着き払って自分の相撲が取り切れている。王鵬の突き、押しに動じることなく左四つに組み止めた。これで勝負が付いたも同然。寄ると見せて強烈な上手投げで王鵬を退けた。
当たり前だが力の差は歴然だった。それでも私は王鵬の善戦を買ってやりたい。私なんか初めて大鵬さんや柏戸さんと対戦したときの相撲は覚えていない。それどころか柏戸関の顔が恐くて目を合わせることもできなかった。そこへいくと王鵬はよくやった。14日目は貴景勝戦だが、稽古場では十分に胸を借りているはず。相手は大関だ。立ち合いの変化はないだろうから、頭が割れてもいいから当たり負けしないように。それからは顔を張ろうがかみつこうが、何でもやってみればいい。どうせ勝てっこないのだから悔いは残してはいけない。
少し王鵬の話に時間を取り過ぎた。別に貴景勝の足を引っ張っている訳ではありません。今場所も早々と3敗しながらも諦めず、気がつけば2敗の豊昇龍を引きずり落とし、ついには優勝争いに加わる権利を得たのは大関として責任を果たしたと言っていい。豊昇龍は押しには突きで対抗したが、貴景勝の激しい当たりと押しに終始攻められ通しだった。どこかで前みつを取りに出るかと見ていたが、そのチャンスはなかった。
まさに完敗だった。どうやら立ち合いがまだ弱いので、押し相撲には攻められることの方が多いようだ。解説者の中には体重を増やした方がいいという声もある。白鵬の宮城野親方もあと10キロ欲しいと述べていたが、豊昇龍はすでに150キロ近くあるのだから、その必要はないと思う。千代の富士は120キロ前後しかなかったが、頭を下げることもなく堂々と受けて立っていたではないか。それには稽古しかないのです。
というわけで優勝は千秋楽までもつれ込みます。これで千秋楽のテレビ解説も退屈せずに済みそうです。皆さんも十分に堪能してください。それではこれで筆を置きます。8時キッカリです。昼飯を抜いていたので放送中から軽く目まいがしていました。なぜ昼飯を抜いていたか白状すると、今年は吉塚のうなぎを一度も食べていなかったので、電話で6時30分にテイクアウトをお願いしていたのです。忙しい店なので断られるかとも思いましたが、快く頼まれてくれました。
帰り道、店に到着すると既に超満員。お客さんが10人以上並んでいました。私が頼んでいたうな重は2人前。今すぐ原稿を送って食います。当然2人前を私1人で。色気の方は全くなくなりましたが食欲は健在です。こうはしてられません。これで失礼します。(元横綱)
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