英紙タイムズは21日付で、日本政府が新型コロナウイルスの影響で今夏の東京五輪・パラリンピックの中止を結論づけたと報じた。また、大会の32年への延期も視野に入れているとも伝えた。政府や国際オリンピック委員会(IOC)は記事内容を否定する火消しに追われたが、英語圏を代表する有力紙の記事は中止論を世界的に拡大させる可能性が出てきた。一方、政府内では中止回避のため大会を無観客で開催する案も浮上した。
1785年創刊で、世界最古の日刊紙とされるタイムズ紙は「日本、コロナのせいで五輪脱出を模索」と題した東京発の記事を掲載した。東京五輪を「日本政府が中止せざるを得ないと内々に結論付けた」と報じた、衝撃の内容だった。
同紙は連立与党幹部による「既に1年延期された大会は絶望的だとの認識で一致している。今は次に可能な32年大会(24年はパリ、28年はロサンゼルスで決定)の開催を確保することに焦点が当てられている」とのコメントを紹介。「誰も最初に言いたがらないが、(開催は)難しすぎるというのが一致した意見」との情報筋の談話も紹介し、IOCと日本政府が表向きには五輪開催は可能と主張しているとした。また、五輪準備へ少なくとも250億ドル(約2兆6000億円)を投入した日本にとって「大会中止は金融危機となる」とも指摘した。
IOCは22日に声明を発表し、記事を「絶対に事実ではない」と誤報と認定。国際パラリンピック委員会(IPC)も「臆測」と断じ、具体的な新型コロナウイルス対策や個々が守る責任を説明した関係者向けの規則集が2月初旬に発行されると説明した。日本側も同日、政府、東京都、大会組織委員会が一斉に記事を強く否定。内閣官房は「そのような事実は全くない」と政府がコロナ対策を万全にして準備を進める姿勢を強調した。小池百合子都知事はこれまで中止や延期の話は一切出ていないとし「どういう形で(情報を)入手したのかも分からない。抗議を出すべきではないか」と訴えた。
だが、情報は瞬く間に世界へと広がった。各メディアがタイムズ紙の記事とともに、日本国内の感染者数の急増や国民の約8割が中止か延期を望んでいるとの最新の世論調査の結果を紹介。同じ英紙ではデーリー・メールが「東京がパンデミックに耐えている中、このまま先へ進むという公約が国民の疑念をやわらげるのは難しいと感じる」と主張し、ガーディアン紙は陸上、F1、サッカーの開催に尽力してきたスポーツマーケティング関係者の「ここで五輪を開催するのは狂気」とのコメントを掲載した。
7月23日の五輪開幕までちょうど半年。開催を巡る混迷は深まるばかりだ。
▽英紙タイムズ ジョン・ウォルターによって1785年に創刊された世界最古の日刊新聞。当初は「デイリーユニバーサル・レジスター」を名称としていた。1788年に現在の「タイムズ」に変更。2018年にはオックスフォード大の研究所によって英国で最も信頼されている全国紙に選出された。サンデータイムズは姉妹紙。
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