<陸上:東京五輪代表最終選考会兼日本選手権>◇第2日◇25日◇ヤンマースタジアム長居◇男子100メートル決勝
多田修平(25=住友電工)が10秒15を記録し、初優勝で自身初となる五輪切符をつかんだ。6日に自己記録10秒01をマークし、10秒05の東京五輪参加標準記録を突破。安定した走りで、五輪内定にたどり着いた。
優勝インタビューでは「ここまですごく長かった。みなさんの支えがあってここまでこれた。ありがとうございます。ここにかけていた。出だし、春先は調子悪かったですけど、ようやくここまでこれてよかった。3、4日前から寝られなかった。でも緊張したかいがあった」と涙を浮かべて喜んだ。
事前の言葉通り、多田が地力を示した。開幕前日の23日には「すごい調子も上がってきている。3~4日ぐらい前から、すごい緊張で寝られないが、緊張感をしっかり前向きなパワーに変え、優勝できれば」と素直な思いを口にしていた。
地元大阪での日本選手権は関西学院大3年だった17年以来、4大会ぶりとなった。4年前の決勝は10秒16で2位となり、世界選手権(ロンドン)の日本代表入り。だが、以降は3年連続5位と苦しみ、前回大会後には「60~70メートルまでは自分が先頭だった。もう少しリラックスできれば良かった」と肩を落とした。
東京五輪が懸かる大舞台で、友の思いも背負った。関東の同じ練習場で切磋琢磨(せっさたくま)する白石黄良々(25=セレスポ)が、5月の東日本実業団選手権で右太もも裏を肉離れ。万全に走れない姿を間近で見ており、6月に入って「僕が彼の分まで頑張って、オリンピック(出場)や日本選手権優勝を達成できるように。そうすれば、僕の走りが彼にとっての基準になってくると思う。また切磋琢磨(せっさたくま)して(22年の米国)ユージンの世界選手権を目指すことができれば」と誓った。
多田の強みは序盤、白石は後半。互いの得手不得手は異なり、それを補うように高め合ってきた。「最近、また練習する機会もある。彼は補強(トレーニング)メインになっているんですけど。落ち込まず、ストイックに前向きにやっていますね」。その姿から学ぶことも多かった。
25歳の誕生日となった、1日遅れで五輪切符という、最高のプレゼントをたぐり寄せた。「自分の武器がスタートから中盤。一気に抜けだして、後半も加速する走りを皆さんにお見せできたら良い」と見据えた。
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