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Saturday, February 5, 2022

高木美帆の「1周目があまりにももったいなかった」…外ノ池亜希の目【北京五輪スピードスケート解説】 - 読売新聞

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 北京オリンピックのスピードスケート競技が5日に始まり、女子3000メートルで日本のエース・高木美帆(日体大職)は6位、佐藤綾乃(ANA)は9位とメダルには届かなかった。冬季五輪3大会出場の外ノ池亜希さんが最初のレースを解説する。

 高木のタイムは4分01秒77。メダリスト3人は3分59秒を切る勝負をみせた。

 高木の通過ラップを見ると、スタートの200メートルは19秒58と速かった。予定通りの数字だろう。この後は1~6周目まで31秒台で我慢した。こうやってペースを維持する持久力があるから、彼女はスピード勝負の短距離だけではなく3000メートルでも世界と十分に戦える。ただ、ラスト1周で32秒91まで落ちた。

 1周目(200~600メートル)が、あまりにももったいなかった。200メートル通過の手前から、ゆったり滑るリズムになってしまった。ペースを作る意識が強すぎたのか、せっかくのスピードを生かせなかった。1周目を30秒台で滑れていたら、それを終盤までキープすることができたはず。最後にラップが1秒07も落ちたのも、前半でペースを抑え過ぎた影響だと思う。

 スピードと持久力という持ち味をフルに生かして滑れていたら、4分を切ってメダル争いに加われていたことだろう。序盤で、もう少し積極的なレース運びをできていたら――。

 高木はレース後、「このリンクは初めて。ラップタイムの設定が難しい中でのレースだった」と話していた。それが、積極性を欠いた原因だろう。

 今大会は、2008年北京五輪当時の競泳会場をスケートリンクに作り変えた新しい会場で行われている。前回大会までは、たとえ新しい会場でも、前のシーズン終盤に五輪と同じリンクで世界距離別選手権が行われ、強豪選手の多くは、そこで氷の感触をつかめていたが、今回はその機会もなかった。コロナ禍の中、高木以外の強豪たちにとっても、どれぐらいスピードが出る氷なのか、開幕直前の公式練習で滑ってみた感触しか手掛かりのない「手探り状態」で迎えたレースだった。

 そんなタイムが出にくい状況にもかかわらず、積極的な滑りでメダルをつかんだ上位3人には拍手を贈りたい。オランダの選手が3分56秒93の五輪記録で優勝したのは、さすがスピードスケート大国というしかない。選手層の厚さを感じる。

 ただ、高木も9位の佐藤も、本当の勝負レースは2日後の1500メートルだ。佐藤が「3000メートルは、体にいい刺激を入れるレースをしようと思っていた。まあまあ良かった」と明るく話していた。高木も、きょうのレースで会場の感触はつかめたことだろう。

 高木も佐藤も、決して持ち味が出なかったレースではない。ここからに期待したい。(聞き手・込山駿)

外ノ池亜希 (とのいけ・あき)1979年3月3日、長野県生まれ。18歳で出場した98年長野オリンピックから、ソルトレークシティー、トリノと五輪3大会に出場。ソルトレークシティー大会では女子1000メートルで当時の日本記録となる1分14秒6で7位入賞。

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