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Sunday, February 6, 2022

ジャンプ高梨沙羅4位 なぜ「女王」の歯車は狂ったのか - 毎日新聞 - 毎日新聞

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4位となり引き揚げる高梨沙羅選手=張家口・国家ジャンプセンターで2022年2月5日、宮間俊樹撮影 拡大
4位となり引き揚げる高梨沙羅選手=張家口・国家ジャンプセンターで2022年2月5日、宮間俊樹撮影

 北京冬季オリンピック第2日の5日に河北省張家口の国家ジャンプセンターで行われたノルディックスキー・ジャンプ女子個人ノーマルヒル(ヒルサイズ=HS106メートル)。高梨沙羅(クラレ)は4位でメダルに届かなかった。五輪会場での初飛びは好調に見えたが、歯車が狂った。この間、何が起きたのか。

 3日の最初の公式練習は1回目に104メートルを飛ぶなど3本飛んで1位が2回、残る1回も3位。「いろんな道具とかを調整した3本」と振り返り、メダルへの視界は良好と思われた。しかし4日昼の公式練習1回目、不安定な風に3回、助走ゲートに入り直した末に飛ぶと、風にあおられて空中姿勢が乱れ、88メートルでこの回5位に。2回目も6位だった。

 この間、黒と青のジャンプスーツを着るなど道具をテストしていた。5日の試合後は「毎日いろんな方向から風が吹いている中で道具も絞り込めず、定まっていなかった」と語った。

 会場入りして道具の調整を進めたことは、それ以外の準備は進んでいたことの裏返しと言える。本番の1回目は踏み切るタイミングが早くなるミスが出て98・5メートルにとどまった。日本チームの横川朝治・女子ヘッドコーチは「調整の仕方がバッチリすぎ、体が切れて速く動けたので、タイミングは早かった」と見る。めまぐるしく変わる風への対応や道具選びなど変化を感じ取る力についても「優れた能力だが、あまりに感じすぎたかな」と繊細さがマイナスに作用したと感じている。そこに、有利な向かい風が上位10人の中で最も弱い不運も重なった。

 この日、会場の大型ビジョンなどには、踏み切り時と30メートル進んだ時点での速度比較が表示された。問題の1回目、高梨は踏み切り時が時速87・3キロだったのが、30メートル時点は89・1キロで、1・8キロ速くなった。伊藤有希(土屋ホーム)や岩渕香里(北野建設)ら速度が遅くなった選手よりも「進み」は良いが、銅メダルのニカ・クリジュナル(スロベニア)は4・1キロも速くなっており、空中の序盤で差を付けられた形だ。

 高梨は5位で折り返した2回目、優勝したウルシャ・ボガタイ(スロベニア)と並んでこの回最長の100メートルを飛んだが、銀メダルのカタリナ・アルトハウス(ドイツ)を含む上位3人より飛型点で劣り、得点はこの回の4位。特に着地の「テレマーク」姿勢に課題を残した。横川ヘッドコーチは「高梨は踏み切りの力強さによりフライトが以前より高くなっており、テレマークを入れづらくなっている」と話す

 他の日本勢は伊藤有希が94メートル、82メートルの176・7点で13位、勢藤優花(北海道ハイテクAC)は94・5メートル、83・5メートルの176・5点で14位、岩渕香里は94・5メートル、83メートルの169・6点で18位だった。【江連能弘】

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